●女子新御三家の一つ

今回は、女子新御三家の一つとして人気の鷗友学園女子中学校の入学試験問題について話を進めていこうと思います。本校は、1935年に東京府立第一高等女学校(現在の白鴎高等学校)の同窓会である鷗友会によって設立されたそうです。校名の由来がわかりますね。キリスト教の精神を基盤に「慈愛」と「誠実」と「創造」を校訓としているそうです。偶々私の知人には、本校の卒業生が何人かいるのですが、とにかく皆さん、活力にあふれ、自由に生きていて清々しい方々です。本校での六年間が大きく影響しているのでしょう。私は、「創造」の力強さを感じます。

●進学校としての実績

本校の入学試験偏差値は、日能研によれば第一回が59、第二回が64です。御三家に次ぐ位置づけです。とくに通常2月3日に行われる第二回は、併願者が多く集まり激戦となります。大学受験実績は、2018年度は最難関校である東大、京大、一橋大、東工大に合わせて21名が合格しています。私大に目を向けると、早慶上理に計214名が合格しています。
今回も、当塾の指導教科である国語、社会の入試問題を見ていくことにします。

●国語の入試問題

国語は100点満点、解答時間は50分です。大問は3つで、説明的文章と文学的文章の読解問題がそれぞれ1題と、漢字の書き取り問題(5問)が出題されます。漢字の書き取りは、通常の中学受験レベルの学習をしておけば心配はありません。時間をかけずに解答しておきたいところです。

さて、本校の読解問題は全て記述問題であるところに大きな特徴があります。また、文字数も多く、二問合計で10,000字近くになります。特に文学的文章は長めになります。抜き出しや選択問題がないため、慣れていないと難しく感じられるかもしれませんが、しっかりとした国語の力を身につけていれば、心配は要りません。問題の素材となる文章自体はさほど難しいものではないからです。

文学的文章ならば、登場人物の人間関係の把握、どのような状況なのか、どのように関係が変化したのかをきちんと把握しておくことが大切です。説明的文章では、筆者の「いいたいこと」を理解し、表現する力をつけておくことが大切です。すなわち、確かな学力さえつけておけば大丈夫ということです。難問や奇問は出題されません。なお、問題の中に、答えるべきポイントがはっきり示されている場合が多いので、解答もしやすいはずです。

2018年度第1回入試問題より~
大問1 問1 
―線部①「僕はね、本に新しい命を吹き込んでいるんだよ」とはどういうことですか。その目的をふくめて説明しなさい。

2020年入試の合格平均点は、第1回が69.3点、第2回が72.4点です。確実に記述問題に対応できる地力をつけておくことが肝要です。

●社会の入試問題

社会の問題も国語同様100点満点です。また、解答時間も50分で同じです。本校は4教科が全て同じ配点、時間なのです。本校は、国数だけではなく、理社の力も重視していることの現れなのでしょう。求める生徒像が見えてくる気がします。

社会科の問題は、かなりレベルが高いものだと言えます。細かい知識を求められるという意味ではありません。記述問題も多く、知識だけでなく、資料を読み取ったり、因果関係を理解したりする必要があるということです。地理では地図や統計の読図が求められます。また、歴史では、基本的事項を覚えているだけでなく、その背景やその後への影響などもおさえておく必要があります。公民では、基本的事項をおさえることに加え、時事問題に自分なりの意見を持つことが求められます。合格平均点は、2020年入試第1回は60.4点、第2回は71.4点でした。

2019年度第1回入試問題より~
大問3 問8
候補者男女均等法について、「議員は自由な立候補と公正な選挙で選ばれるのだから、女性候補者をあえて増やそうとする必要はない」という意見があります。これに反対する意見を、以下の[条件]に従って、考えて答えなさい。
[条件1]【資料19】を見て、1996年から2017年の衆議院選挙までに、どのような変化が読み取れるか、1つ挙げること。
[条件2][条件1]で読み取ったことについて、どのような問題があるかを説明すること。
[条件3]候補者男女均等法が施行されることで、今後の国の政策、または予算にもたらすと期待される変化について、具体例を1つ挙げること。


(注)資料19は、1996年以降の衆議院議員総選挙において、女性候補者が候補者全体に占める割合と、女性議員が議員全体に占める割合を示したグラフです。


<解答例>
グラフを見ると、女性議員も女性候補者も増えてきてはいるが、まだ2割にも満たない低い割合にとどまっていることがわかる。この法律によって、女性候補者が増え、さらに女性議員が増えていくことで、例えば子育てに関する予算が増えることが期待できる。したがってこの法律によって女性候補者を増やすことがまず必要なのである。

●確かな学力をつけることが大切

社会科の問題も国語同様100点満点です。また、解答時間も50分で同じです。本校は4教科が全て同じ配点、時間なのです。本校は、国数だけではなく、理社の力も重視していることのあらわれなのでしょう。求める生徒像が見えてくる気がします。