●何ができていないかを知ることが大切
受験本番が近づいてきました。まだ力が及ばない、過去問を解いても合格点に達していないなどの状況では余計に焦るのではないでしょうか。中学入試の場合、東京の受験日は2月1日以降です。ですのでまだおおよそ2ヶ月学ぶ時間があるというふうに考えてみたらいかがでしょうか。たとえば過去問の点数だけを見ると、合格点に20点満たないとなると不安になるかもしれません。こういうときこそ、焦らず冷静になぜその点数になったのかを分析してみるのが大事なのです。そして対策を講じることです。一例をあげます。
苦手なのでなく、慣れていないのだと考える
つい先日のことです。最近はほとんどの授業が国語なのですが、久しぶりに社会の過去問を生徒さんとともに解いてみました。2021年度の駒場東邦中学校の問題です。ここでは問8(3)を取りあげます。
次の図10は、2018年に日本の各地域を訪れたオーストラリアからの観光客の人数と、そこで使った「娯楽等サービス費」と、「買い物代」の1人当たりの平均支出金額を示したもの、図11は、同じ年にオーストラリアから日本を訪ねた旅行者の数を月別に示したものです。
図10を見ると、オーストラリアから日本に来た人が、「買い物代」よりも「娯楽等サービス費」を多く使っている地域がいくつかあることがわかります。それらの地域で「娯楽等サービス費」の支出が多い理由を、図11を参考にし、地理的な要因をふまえて具体的に説明しなさい。
この問題では、図10と図11から読みとれることをふまえ設問の趣旨に沿って説明することが求められています。下記が図10、図11です。
図を見ながら、問題を解き進めます。問題文の「『「買い物代』よりも『娯楽等サービス費』を多く使っている地域」は、北海道・東北・北陸信越だということが図10からわかります。図11からは、1月次いで2月にオーストラリアからの訪日旅行者数が多いことがわかります。
旅行者数の多い日本の冬に、そのとき夏である南半球のオーストラリアからの旅行者はどの地域に何をしに行くのでしょうか。図10からは、雪の多い地方では買い物代よりも娯楽等サービス費の多いことがわかります。この娯楽等サービス費がスキーやスノーボートなどのウィンタースポーツであることは、比較的容易に推測できます。
これらを踏まえると、
「オーストラリアが夏の12月や1月に、日本の雪が多く降る地域でスキーなどをするために訪れるから。」
などの解答が導き出されます。
どの地域で雪が降るのか、またオーストラリアが南半球に位置することなどの基本的知識さえあれば、問題文中から正解を見つけ出すことは決して難しくはありません。むしろふだん取り組んでいる国語の読解問題よりも、ずっと易しいのです。
さてこの問題なのですが一緒に解き直しをした生徒さんは、最初は解答できなかったのです。ただし、解き方を理解したあとはコツをつかんだようです。駒場東邦の社会は、知識を問う問題のほかにこの種の問題がとても多く出題されています。これが出来ないと合格点は見込めません。
こうした問題は解き方さえ身につければ、すぐにできるようになります。新たに覚えなければならない知識もありません。ただし、慣れていないと解けないのです。この慣れを身につけるためには、受験までの残った時間で十分に対応できるのです。
上記は一例ですが、志望校の過去問を解いていくと自分の弱点が見えてくるはずです。また同時に得意な点もわかってくるのです。例えば今回のブログに記した駒場東邦の問題を解いた生徒さんは、知識問題はほぼ完ぺきに解けるのです。しかしながら上記の問題のような資料を活用する問題が解けなかったために、合格点を取れなかったのです。しかしもう大丈夫です。この生徒さんは、同種の問題演習を通して合格点が取れるようになるはずです。
●やれるところまでやればいいんです
あとおおよそ二か月、志望校に合格するためには何が足りないのかを明確にすることが肝要です。そして大切なのは、足りていないところを集中的に学ぶことです。一方で、できていること、得意なところはたくさんあるのです。今まで頑張ってきた成果なのです。これを礎に好結果を生むためには、これからのひと頑張りが大事です。
とは言え、学ぶことが多すぎて何から手を付けていいかわからない、これから学んだところで試験にそこが出題されるとは限らないと思う人も多いかもしれません。しかし、これから学んでもあまり変わらないから努力をしない人と、これからできることに本気で取り組む人とでは自ずと結果は変わってきます。努力は報われる、その気持ちを大事にしてほしいと考えます。
誰もが完璧な準備はできません。それでも努力は続けるべきです。受験の神様は、そういうところをきちんと見てくれています。「やれるところまでやればいいんです。」と、私の受験生時代の恩師はおっしゃいました。至言です。


