●どの教科にも必要な国語の力
近年の入学試験の問題を見ていると、どの教科においても問題文が長くなっていることに気づきます。その教科の学習内容について解答する以前に、まず問題文を正確に読む力、正確かつ速く理解する力が求められています。これらの問題文は、日本語で書かれています。当然のことながら、各教科の学習内容を知識として身につけていることが大切です。ただし、日本語で書かれた問題文を正確に読んで理解しないことには、解答に至ることが困難な問題が多くなっています。
一例として、武蔵中学校の社会を見てみましょう。2020年度の問題は大問が一つ、国内の河川を例にした治水がテーマです。この問題には、3,000字近いリード文があります。
国語の読解問題なみの分量といってよいでしょう。
このリード文と4つの図を読みながら、7つの問題に取り組むことになります。問題の多くは記述問題です。このうち一問を取りあげます。
問5 第二次世界大戦後の日本における水害被害の状況について、本文と図3を参考にして、変化を説明しなさい。
問題の本文がとても長いため、この問いに関連する箇所を引用しておきます。
戦後、各地の河川で上流部のダム建設や下流部の大規模な堤防建設などの流域全体の治水事業がさらにすすめられました。人口増加とも相まってかつて水田の多かった川沿いの低地も新たに宅地や商業地などとして利用されるようになっていきました。一方、ダム建設の影響で日本各地の海岸が浸食されたり、大規模堤防建設の影響で周辺よりも河床が上昇したりと、弊害も生じています。
実際の試験では、この問いが問題文のどの部分と関係あるのかを見つけることが、まず必要となります。国語の問題と同じように、問題文を正確に読まなければ、これを見つけることはできません。加えて次に掲げる図3を読み解きながら、解答を作成することになります。
関係する本文を整理すると、次のようになります。
①戦後、ダム建設や堤防建設などの治水事業がすすめられた、
②人口が増加し、川沿いの低地も新たに宅地や商業地などとして利用されるようになった。
また、図3からは、次のことがわかります。
①水害による死者数は、60年代以降、大幅に減少している。
②一方、死者数が多くなくとも、被害額が多い年は見られる。
本文と図3を関連付けて読み解きながら、解答に導いていきます。
堤防建設などの治水事業が河川の氾濫による被害を抑えることは、社会で学んだ知識で理解できているはずです。本文と図3の読み取りから、治水事業が死者数の減少に影響を与えていることがわかります。また、この動きがみられるのは1960年代以降です。社会の知識から、これが高度経済成長期以降だということもおさえておきます。
続いて、被害額に着目します。死者数が減っているのに、被害額が多い年があるのはなぜかを考えます。もともと水田の多かった低地に宅地や商業地が作られたわけです。水害がひとたび起きれば、水田より宅地や商業地のほうが被害額が多くなることは、社会で学んだ知識でわかります。
これらをまとめると、次のような解答ができます。
<解答例>
1960年代までは死者数が多い年に被害額が大きくなる傾向であった、しかし、高度経済成長期以降、ダム建設や堤防建設などの治水工事が進められ結果、死者は大きく減った。一方、水害の発生しやすい川沿いの低地で宅地化や商業地化が進められたため、水害が発生すると、死者数は多くなくても、被害額が高額になる状況が見られるようになった。
もちろん社会で求められる知識や考え方を身につけていないと、この問題を解くことは困難です。また、図表から傾向を読むことも社会の力です。しかし、問題文から大切なことを読み取る力や二百字近い解答をつくる記述力がないと、この問題は解けません。入試では国語力を養っておくことも、とても大切だと言っていいでしょう。
●体験授業のおすすめ
上に掲げた問題は、中学受験において、国語力が大切だということの例です。受験に限らず。当塾では、国語力を高めることが将来の人生に大きく役立つと考えて、授業をおこなっています。中学入試や高校入試を目的に当塾に通われているお子さんはもちろん多いのですが、相手の話をしっかりと聞き取り、自分の意見を言える力を身につけたい、自分の考えを的確に文章にできる力を育成したいなど、様々な目的の方が、当塾で学ばれています。小中学生が主体の塾ですが、大人の方が就職試験などの対策で通われることもあります。国語の学びに関心を持つ、多くの方々に当塾で学んでいただきたいと考えております。
さて当塾では、いつでも体験授業を実施しております。体験授業では、論説文を題材に、筆者のいいたいこと(主張)をつかむ練習や要約の練習などをおこないます。ここでは文章を早く正しく読むためのルールをお伝えします。たとえば「しかし」や「つまり」などの接続語が文章中に出てきたら、それぞれどのように読み進めたらいいかなどの方法を学びます。単なる体験授業で終わらぬように、この授業が確かな国語の学びの場となるように、私は心がけております。当塾の体験授業は、お子さんが小中学生の場合、ほとんどのケースで保護者の方も同席されています。お子さんと一緒に例文を読んだり、問題に取り組んだりされている方も多くいらっしゃいます。この授業は無料ですし、無理な入塾の勧誘はおこないません。関心をお持ちの方は、ぜひとも下記にご連絡ください。オンラインでの体験授業も受け付けております。
https://form.run/@kobetsuhirayama-1177
●教科を超えて力を養う
さて、当塾の体験授業では、最初に算数や数学の文章題を解いてもらうことがあります。
どちらかといえば国語が得意でないとおっしゃるお子さんが、よく当塾を訪れ体験授業を受けられます。このお子さんたちに、算数や数学の文章題を解いてもらうと、多くの子が正解します。これらの問題が解けるいうことは、算数や数学ができるだけでなく、国語の力もある証拠だと、私は考えています。なぜなら、彼らは、日本語で書かれた文章の内容を理解したうえで、正しい計算式を立てるまで、筋道を立てて考えているからです。文章題が解けるということは、筋道を立てて考える力=国語力の基礎があるのだと考えます。力自体は実はあるのだということに気づいてもらいつつ、楽しく国語を学ぶことをこころがけています。
なお、当塾は国語のほかに社会の授業もおこなっています。体験授業では、たとえば次のような問題を一緒に考えてみます。2018年度の駒場東邦中学校の問題です。
問9 下線部⑨に関して。世界では多くの人びとが慢性的な水不足に悩んでいます。
水資源について考えるとき、「バーチャルウォーター(仮想水)」という考え方にもとづいて貿易を捉えなおす議論があります。これは、食料を輸入している国(消費国)において、もしその輸入食料を生産した場合どの程度の水が必要かを推定するものです。
この観点に立つと、「日本は降水量が多いうえ、さらに世界中の水資源を活用して豊かな生活をしている」ということができます。
「バーチャルウォーター」で考えると、小麦と牛肉では、どちらの方がその量は大きくなるでしょうか。またそれはなぜですか。説明しなさい。
この解答は、「牛肉」なのですが、栽培にたくさん水を使う小麦でないのはなぜでしょうか。当塾では、このなぜを考えることを大事にしております。国語も社会も、覚えることでなく、考えることが大切だと思います。これを大事に授業をおこなっております。
ぜひともお子さんとともに、体験授業にご参加ください。お待ちいたしております。