●なぜ線を引くのか
「問題文にどのように線を引けばよいか」「うちの子はテストの問題文に線を全く引いていない。どうすればよいか。」などのご質問を、よくお聞きします。ふだんの読書とは異なり、入学試験では、可能限り速く正確に本文内容を捉えなければなりません。そして問題に答えなければなりません。そのための方策としては、問題文に線を引いたり、しるしを付けたりすることは有効であると考えます。入試の読解問題で線を引く目的は、速く正確に文章の内容・構成を理解すること、そして何よりも正しい解答を導きやすくすることなのです。
どのように線を引けばよいのかというご質問も、よくあるご質問です。このブログでは線を引くべき箇所をご紹介しますが、必ずしもこれらすべてに線を引かなければならないとは考えておりません。このブログを参考にしつつ、自分が大切だと思うところに、しっかりと線引きなりしるし付けをしていくのがいいと考えます。最初は大まかでいいから自分で大切だと思うところにしるしを付ける、これを心がけましょう。だんだん本当に大切なところにマークできるようになります。
目的は、文章の内容・構成を理解すること、そして何よりも正しい解答を導き出すことです。線を引き出したらいつもより時間がかかってしまった、文章ほとんどすべてに引くことになってしまったなどの声もよく聞きます。これでは本末転倒ですね。線引きは目的ではありません。あくまで手段であることを忘れないようにしたいものです。
なお線を引くのは最初の一読の際だけに必要なのではありません。設問を解く過程でも、どんどん線を引いたり、しるしを付けていくことが大切です。国語の問題は、本文中に答えあるいはそのヒントがあるのです。手がかりにはどんどんしるしを付けておくべきです。それが速く正確に正しい解答を得ることにつながります。
これから説明的文章と文学的文章に分けて、話を進めていきます。
●説明的文章の線引きポイント
説明的文章は大まかに言って筆者の意見とそれを支える具体例・事実の二つの部分からできています。設問でいちばん問われることは、要旨(筆者の意見の中心)に関わることです。要旨に関係する部分をしっかり読むことが大事です。これが線を引く際のポイントになります。
①話題(何についての文章か)を確認しましょう。
これは、最初の段落に書かれていることが多いのです。なお試験問題では、必ず著者と出典が書かれています。これも必ず参考にしましょう。文章全体の内容と関係が深い場合があります。たとえば、「日本語を反省してみませんか」とあれば、現代の国語の課題がテーマかもしれないと予測できます。
②キーワードは何度も出てきます。
日本の歴史に関する文章で、「農耕稲作」ということばが何度も出てきた場合にこれが重要語句となる場合などです。大切なことは何度もくり返されるのです。
③問いかけ(「~でしょうか。」)は大切です。「なぜ環境問題は解決しないのでしょうか。」
という一文があったとします。これは一見私たちにこの解答を求めているように見えますが、そうではありません。この答えが言いたくて、読者に注目してほしくて問いかけにしているのです。ということは、私たちには本文のなかから答えを見つけることが求められるということです。この問いと答えには、しっかりとマークしておきたいところです。多くの場合、設問に関わります。
④対比されていることばに注目しましょう。
論説文においては、ふたつのことがらを対比しながら記されることが数多くあります。筆者が主張したいことがらがあるときに、他のことがらと比較しながら記す手法です。これにより、筆者の主張が明確となります。「西洋と東洋」、「共通語と方言」などです。塾のテキストなどを開いて論説文を読めば容易に見つかるはずです。各文の記述がどちらを指しているのかを正しく認識していくことで、設問に対する正答率も上がります。この類の問題は、とても多いのです。
⑤筆者のいいたいことにつながるものを押えましょう。
下記にあげたものは筆者の主張につながるものであり、ここを押えるだけでも要旨が掴みやすくなります。慣れないうちはこれらに該当するところにマークするだけでも、読む速さと正確さは増すことになります。
・逆説の接続語(しかしなど)に続く文
・「つまり、このように、要するに」に続く文
・「△ではなく、▢」と記された場合は、▢が大事
・具体例の前後にある筆者の意見
●文学的文章の場合
続いて文学的文章、とくに入試でもっとも多く出題される物語文について記します。物語文では、おもに登場人物の心情が問われます。心情は変化します。どの場面の心情が問われているかを正確に捉えるのが大事です。
①前書きは必ず読みましょう。
入試の問題文は、物語全体が掲載されることはほとんどありません。問題文の設定・背景などを正確につかむことは困難です。そのため多くの場合、問題文の冒頭に枠に囲まれたり、太字になったりしている前書きがあります。これを活用しない手はありません。これは必読です。とくに登場人物のうち主人公は誰なのか、そして主人公の境遇、周囲の人間関係などの基本情報をここで得るようにします。しっかりとしるしを付けておくべきでしょう。
②場面のかわるところには注目しましょう
場所や時間の変わるところは確認しておきましょう。なお、物語文では時間の経過に伴って記されていない場合もあります。これが回想場面です。設問で問われることも多いので、間違えないようにしましょう。
③心情表現がもっとも大切です
登場人物のセリフ・行動・様子には、当然注目です。これらに登場人物の心情が表れるからです。とりわけ傍線部前後は大事です。設問を解く際のもっとも大切なヒントにもなります。なお、セリフはかぎかっこで囲まれて区別されますが、誰のセリフなのかを間違えないようにしましょう。かぎかっこの上に印をつけておいた方が、確実です。またもっとも登場人物の気持ちが表れるのはセリフである一方、ときに本音ではない強がりやうそも含まれます。これらは文脈から判断できますが、留意しておきましょう。この他、おもに地の文に記される、「うれしい」「悲しい」などの心情語にも注目です。
④情景描写は、問題解答のヒントになりやすい
「太陽が姿を現し、ぼくたちを照らした」という描写は、登場人物が明るく希望に満ちた様子を暗示します。また、「日が陰り、暗い雲が空一面をおおった」とあれば、気分が沈んでいることが強調されます。このように、情景描写によって登場人物の心情を表すのは定番です。
●線を引くのは速く正確に読み、設問に正解するための手段
上記のような読み方をすることで、初見での文章理解を高めておきたいものです。これによって、文章の内容・構成を大づかみしておくのです。そして設問を解くのにしっかりと時間をかけるのが大切なのです。
線を引いておくことは、問題を解くときになって何度も問題文を見直しすることの手間が省くことにつながります。簡単な例でいえば、物語文で登場人物の名前や相関関係を問われた際、物語の展開を大づかみできていない場合は最初から読み直さなければなりません。これは無駄ですね。小さな無駄を省いていくことで、問題を解くときの時間不足が解消されていくのです。
さて、冒頭で線引きはあくまで手段だと記しましたが、テストが終わった後の問題用紙にも書き込みがないようですと、一般的にはあまり好ましくありません。よほど国語が得意で頭の中に本文がすぐに定着する人以外は、こういう解き方をしてはいけません。仮に最初に読んだときに線を引かなくとも、それぞれの設問を解くうえで重要箇所に何らかのしるしをつけることは必須です。これをしないことは、間違いのもとです。線を引くのが目的なのではありません。正解するために線を引くのです。これを忘れないようにしたいものです。
