●粘って解ききるのが大事
国語のテストを解いていて時間が足りなくなったことを、多くの受験生は経験しているのではないかと思います。実際に受験生の答案用紙を見せてもらうと、解答できていない白い部分の多いことがよくあります。いろいろな原因によってこのようなことが起きるわけであり、それぞれ対処する方法は異なります。
ただしはっきりと言い切れることは、国語の問題はそもそもしっかりと解答しようとすれば時間が足りなくなるものだということです。これは誰にとっても共通のことです。中学受験を例に考えてみても、大学入試に出てもおかしくないような大人が読む文章が出題されることはざらにあることです。大人が読む文章、それも誰もが気楽に読める文章ばかりではありません。論説文ならばその話題に関心があったり、知る必要があったりする人たちだけを対象にした文章も多いのです。こうした文章を時間をたっぷりと使って読むのではなく、おおよそ二十分で文章を読解し、設問にも答えなければなりません。
また中学入試では一万字近い文字数の問題文に対応しなければならない学校も、多くあります。一分に五百字のペースで読んだとすると、問題文を読むだけで二十分となります。このような現実ですので、きちんとテストで問題に向き合おうとすると時間に余裕はありません。そういうものだというふうに捉えましょう。時間を余らせるような天才は、国語のテストに限り存在しないのです。「ぎりぎりまで粘って解ききる」の感覚で臨むとよいと考えます。国語の試験問題を解くことは、決して易しい作業ではないのです。
さて、「ぎりぎりまで粘って解ききる」とはいえ、時間配分には十分に気を配らなければなりません。「読解の大問が二題あるのに最初に取り組んだ一題にぎりぎりまで粘ったため、二題目に手を付けられなかった。」ではいけません。実際にこのようなケースがよく見られます。試験は総合点で評価されます。全体で何点取れたかです。ですので、全問に力が入れられる時間の使い方を身につけておくことが大事です。具体的にどうすべきかを、次に記します。
●テストでの時間配分
ここでは、大問が四つあるケースを想定します。一つ目は漢字、二つ目は語彙や文法などの問題、残りの二つが長文読解問題(文学的文章と説明的文章が一つずつ)としましょう。模擬試験の一般的な構成のひとつです。解答時間は五十分と仮定します。
まず最初に漢字や語彙の問題を解きます。仮に全体の最後のほうに位置してあったとしても、最初に解きます。制限時間は五分、あるいは十分以内と決めておきます。これ以上の時間はかけません。そもそも漢字の書き取りなどは、いくら時間をかけても覚えていない漢字は思い浮かばないのです。全体のなかの配点を考えても切り上げるべきです。
残りの時間で読解問題にとりかかります。おおよそ半分を、一つの大問に充てます。例えば残り時間が四十分なら、はじめの一題は二十分などと制限時間を決めます。これを超えたら次の大問に移ります(これにも二十分使えることになります)。たいせつなことは、二つ目の大問(読解問題)にも、時間を確保することです。
物語文、論説文のどちらを先に解いても構いません。ただし上に記した通り、後で解くほうに十分な時間をかけられるようにしておきます。例えば、物語文が得意な場合を想定します。物語文を後にすれば、残りの時間に気持ちのゆとりを持って得意なものに取り組めるます。論説文を後にすれば、かりに苦手でもこれだけに集中することができるわけです。いずれにしても高得点が見込めます。
なお、五分考えてもできない設問は一旦止めましょう(制限時間は五分に限らず自分で決めて下さい)。テストには大人が取り組んでも難しい設問が含まれていますので、できなくとも気にしないことです。もし時間が余ったら、これには最後に取り組むくらいの気持でよいのです。できない問題があっても気にせずに、気持ちを切り替えて先に進むことが大切です。国語のテストでは満点は取れませんし、取る必要がありません。
そろそろ本格的に過去問に取り組む受験生も多いことでしょう。上に記したような時間配分を意識してみてください。そして常に本番の受験に臨むような緊張感を持って当たることが、肝要です。実際の入学試験で力を発揮することに、つながります。

