●音読の大切さ
授業中には、よく音読をしてもらいます。そうするとお子様によって音読の上手な子と、
上手でない子がいることに気づきます。自分で文章を変えてしまう子、一行飛ばして読んでしまう子など、様々です。こういうお子様は、黙読をするときも文章を正確には読んでいないことになります。これではなかなか国語の力が伸びていかないわけです。
当然のことながら、入学試験で声を出して文章を読むことはできません。しかし本番の入試のときに正確に(音読するように)文章が読めるようになることは、とても大事なことです。ふだんから音読をすることで、正しく文章を読む習慣をつけておきたいものです。
音読のたいせつさは、多くの人によって検証されていて専門的に記されたものも数多くあります。次のような効果があるとされています。
①脳が活性化する。
②集中力が高まる。
③読解力が向上する。
④語彙力が向上する。
⑤黙読のスピードが上がる。
⑥会話力がつく。
効果についての詳細は専門家にゆずり、ここでは音読をするうえでどのような点に留意すべきか、ふだん近くにいる家族はどうするべきかを中心に記していきます。
●音読をしましょう
文章を読むときふだんから音読を行うことを意識している人は、あまり多くないようです。学校の教科書でも塾のテキストでも構いません。一日最低一回は音読をするようにしましょう。
音読には、黙読にはないさまざまな気づきがあります。たとえば知らない単語が出てきたときに、黙読ですと無意識に飛ばして読んでしまうことがあります。音読ならば、その単語を読まないことには先に進みません。少なくともこの漢字はどう読むのだろう、どういう意味の言葉なのだろうと疑問を持ちます。そして自然にそれらを考えたり、調べたりするようになっていくのです。
音読ではごまかしがききません。黙読していたときには飛ばしたり、自分の都合のいいように読み替えたりしていたお子様も、それができなくなります。正確に文章通りに読めるようになるのです。これは正しい日本語の構造を身につけるうえでも大切に考えます。テキストに載るような文章は、一般的には内容だけでなく日本語としてもよいものが多いからです。正しい日本語に触れる良い機会なのです。
●黙読にもいい影響がある
音読を続けていくと、文章をまとまりで捉えられるようになります。一つの文を一つ一つの単語でなく意味あるものとして押さえ、文章を一文ずつではなく意味のあるかたまり(意味段落)として括れるということです。
この学びを続けていくと、音読で培った力が生かされ黙読するときも速く正確に文章が読めるようになっていきます。たとえば入試会場で音読することはできませんが、音読で身につけた習慣によって速く正確に本文が読めるようになります。本文を読むスピードが短縮されることは、じっくりと時間をかけて設問に取り組むことにつながります。
●国語だけでなく他教科にも役立つ
テキストに記されたことや設問で問われていることを速く正確に理解できるようになれば、他教科の成績も上がっていくことでしょう。現在、どの教科においても文章題が増えています。そして文章自体のなかに、解答のヒントや解答そのものが隠されていることも多くあるのです。
国語だけでなく、他教科(たとえば算数・数学や社会)においても時には音読をする学びを取り入れてみるのがいいと思います。英語は言わずもがなですね。問われていることを正確に捉えらえるようになるはずです。これによって、いわゆるケアレスミスもなくなるはずです。
ところでこのケアレスミス、私もよく「設問をよく読んでケアレスミスをしないように。」と塾で学ぶお子様に伝えます。ただしこれはケアレスミスというよりも、実際に学力が足りていないのだと考えたほうがいいと思うこともあります。単なる注意力不足ではなく読解力が不足しているのだ、こう考えなおすことでいわゆる「ケアレスミス」がなくなると考えるのです。

●家族が手助けできること
音読の効果を高めるには、家族ができることはたくさんあります。当然のことながら、まずは音読する場面を増やすことです。テキストは塾や学校のテキストでも、お子様の好きなジャンルの文章でも構いません。
音読が嫌いにならないよう、好きになるように配慮することが大切です。まずはしっかり聞いてあげることです。そして褒めることを忘れないようにしたいものです。最初は少しくらい間違えてもいいでしょう。
慣れてきたら一度、正確に読めているかどうかを指摘する機会をもってみましょう。漢字の読み方の誤りや読み飛ばしは、よくあることです。お子様が自ら間違って読んではいけないのだなと気づけるように、仕向けていくことが大切です。また、段落毎に交互に読む、たまには読み聞かせを行うなども効果的です。音読の楽しさを感じ取ってもらえるようにするのです。
さて、音読は文章の理解を目的としており、朗読は文章の内容を聞き手に伝えることを目的としていると言われます。ただし音読と朗読、あまり意識して分けなくてもいいと私は考えます。大切なことは、文章を味わったり正しく理解したりすることです。周囲に誰かがいるときは、朗読して相手に伝えるつもりで読んだ方が良いと思います。またそういう風にお子様に伝えてみてはいかがでしょうか。
●とにかく声を出して読みましょう
音読の良さはたくさんあります。多くのひとが様々な場面でそれを紹介しています。私がこのブログで記すまでもありません。ただし専門的に学術的にではなく感覚として、私は音読すると文章がわかると実感しています。おそらく私が気づいていないメリットがたくさんあるのだろうと思います。とにかく声を出して読みましょう。いずれ効果が実感できるはずです。