●「個性的な息子」に合う学校探し

息子は幼い頃、電車に乗るのが好きで、特定の電車が来るまでひたすら待ち、帰ろうと促してもなかなかその場を離れない姿を前にして、ここまで没頭できることに、ある意味羨ましささえ感じました。これは知的好奇心の土台になるだろう、と考え、できる限り付き合いましたが、冬の寒空の下などはこちらにとってはさながら「修行」のようで、子どもから思いがけず忍耐を学ぶこととなりました。

没頭している時は何度声をかけても聞こえないようで、いつか事故に遭うのでは、といつも心配していました。今も変わらず、その一方で、興味や関心のないことには全く関心を示さず、忘れ物も多いです。そんな「個性的な息子」に合う学校を探すのが、中学受験を決意したきっかけです。

ちょうど昨年のこの時期には、各学校が主催する最後のプレテストや学校説明会・個別相談会が開催され、息子の性格に合うかどうかを確認するために、私達は気になる学校の個別相談会の予約を取りました。私は特に以下の点を気に掛けていました。

「どんな生徒か多いか」
「学校生活で重視していることは何か」
「個性を尊重しているか」
「イジメが起きた時の対応」

●子どもが自分の力で成長できる環境が一番大事

SLぐんまみなかみ号です。通称「デコイチ」を見に行きました。

後に無事息子が通うこととなるその学校の教育方針は、一言で言うと「自由」と「自主性」でした。学習にも自主性が求められ、校則はほとんどなく、何をしてはいけないか、も含めて自分で考えさせる、という教育方針でした。

個別相談会の最後に、先生が息子に「気になることはあるか」と尋ねてくださいました。すると、息子は、
「髪を伸ばしてもいいか」
「遅刻をしてもいいか」
「買い食いをしてもいいか」
「携帯電話を持ち込んでいいか」と質問し、前もって何を聞くか話し合っていたのに「寝耳に水」の軽薄な質問の数々に驚かされました!

しかし、先生は微笑みながら優しく答えてくださいました。遅刻が重なると保護者に連絡がいく、それ以外はすべてOK、とのことでした。このやり取りを通じて、息子と私の温度差を痛感させられました。

「個性的な息子に合う学校」を探していく中で、自由を尊重する学校が多い反面、放任に近いところもあり、そのバランスの難しさを実感したものです。自由と自主性を重んじながらも、適切にサポートしてくれる学校が理想的ですが、自由とサポートの両立は難しい、と感じました。

今も何が正解なのかは分かりませんが、実際に通ってみると、また違う発見があります。「いくら調べても、やはり最終的には入ってみないと分からない部分がある」というのか率直な感想です。

この時期、学校選びの最終段階に入っていると思いますが、どこであっても子どもが自分の力で成長できる環境となれば、それが一番大事だと思います。