●受験までに必須の過去問演習

来春に受験を控えた生徒さんたちにとって、これからの数か月の過ごし方はとても大切です。なかでも志望校や併願校の過去問演習は、大きな位置を占めることになります。一般の受験では筆記試験でいい点数を取らないことには、合格はできません。これからの学びの中心に、合格のためのもっとも効果的な学習として、過去問を積極的に解いていきましょう。

過去問演習の効果は大きくは三つであると、私は考えています。

①自分と合格との距離を知ることができる。
現在自分の学力が合格点にどれくらい足りないのか、あるいは足りているのか、その立ち位置をまず知らないことには対策が立てられません。過去問の合格最低点等は、多くの場合、インターネットなどを通じて把握することができます。

②合格のためには何が必要かを知ることができる。
過去問を解くことによって、その学校に合格するためにどのような力が必要であり、どのような問題が出題されるかがわかります。できなかった問題が自分の弱点です。補強すべき学習内容が、ここから見えてきます。

③問題演習を通して合格力が身につく
同じ学校の問題を何度か解くことによって、出題傾向がわかります、同時に、何度も演習をくりかえすことで、解法を身につけることができます。誰もが最初は泳げません。練習を重ねて泳げる=解けるようになるのです。もしかすると、これが過去問演習の一番の収穫かもしれません。

上に掲げた三つを、具体的に確かめていきましょう。

●自分と合格との距離を知る

9月の時点で合格点が取れていないこと自体は、心配する必要はありません。むしろ、合格点までにどれだけ足りないのか、その距離を正確につかんでおくことが肝要です。過去問を解いたら、いつどの学校の過去問を解いたのか、何点取れたのかを必ず記録しておいてください。できれば専用のノートなどを用意するとよいでしょう。どのくらい自分の成績が伸びてきているのか、あとどのくらいで合格点に達するのかを、ご自身で把握したり、都度都度の目標を立てたりするのに活用できます。

入試問題には、解答の制限時間があります。これは必ず守ってください。そうでないと試験本番に向けた演習になりません。試験当日と同じように集中力を高めて、そのときそのときで最良の答案を作り上げることに努めることが大切です。練習だからといういい加減な気持ちで取り組んでいると、本番でもその癖が出てしまいます。反対に問題演習で本気に取り組む習慣をつけておけば、本番でも力を十分に発揮できることでしょう。昔から言われていることですが「練習は本番のように、練習は本番のように」、これは真理だと思います。本番同様に自分にプレッシャーをかけるのです。

入試問題を分けて、大問一だけを解いてみるなどのやり方も、特に実際に受験をする学校の問題の場合は避けてください。あくまでも本番を意識した演習にすることが肝要です。

もしも一日自由に使える日があったら、志望校の試験時間割と合わせて全教科を解いてみることもおすすめします。朝起きてから試験終了までの時間の使い方を、ある程度イメージできるはずです。これも「練習は本番のように」のひとつです。

なお、一度時間内で解き終わった後に、納得いくまで解くことは大切です。このときは時間内で解けた問題なのか、時間をかけたら解けたのかを、明らかにしておいてください。足りない力を明らかにする際に必要になります。

●合格のために必要なことを知る

前述の通り、過去問は必ず一度時間内で解き終えます。ただし、ここで終わってしまうと未着手の問題、解きかけの問題が残ってしまうことがあります。時間を延長したり、改めたりして。納得いくまで解いてみることが大事です。

次に採点、解き直しの作業に入ります。たくさんの学びのヒント、合格に向けての知恵を得ることができます。国語とりわけ現代文の場合、時間をかけることにより解けたならば、理解力は十分なので、読むスピードを上げる練習をすれはよいのです。時間をかけても解けないのであれば、しっかりと読解力をつける学習をする必要があります。自分に必要なことを見つけていくのです。

同じ学校の問題を何度か解くことによって、出題傾向がわかります。どのような問題で自分がつまずくのかも見えてきます。自分に足りないところ、苦手なところも見えてくるわけです。四字熟語に関わる問題が必ず出題されるのに、これが解けないでは話になりません。合格点までに何が足りないかを逆算し、合格点と自分の得点のギャップを埋めるのに何が必要かを考えて、勉強をするのみです。

●そして得点力を上げる、合格力をつける

一般的な入学試験はペーパーテストですから、これをひたすら解くことに勝る勉強法はありません。過去問演習をおこなうこと自体が有益な学びなのです。これだけでも力はつくのですが、前述の通り、解き直しが大切です。

何度か過去問を解くうちに同傾向の問題ができていない、苦手だと感じられることもあるでしょう。これはチャンスと捉えましょう。とことん解き直しをして確実に点が取れるレベルまでもっていってください。そのとき、解法まで自分の口で説明できるようにするのが肝要です。実際に誰かに説明するのがベストです。これによって個々の具体的な設問が抽象化・一般化され、類題がでたときに必ず解けるようになるわけです。これはどの教科でも共通です。

国語では、記述問題への対応も大切です。最初に時間内で解いたとき未着手ならば、納得できる解答を一度作ってください。そのうえで、必ず解答例と比べてください。解答に必要な要素のうち、何が足りていて何が足りないかを明らかにしてください。この作業を繰り返すうちに、記述問題を解くコツが身についてきます。このとき、解答例を書き写すだけでも力はつきます。記述が苦手だと思ったら、この作業を必ず入れてください。

ここまで進めていけば、合格まであと一息です。もしかすると、これ全部をやりきれるわけがないと思う受験生もいらっしゃるかもしれません。だからといって何もしないのは、もっとも愚かです。まず始めることです。私の受験生時代の恩師のことばを思い出します。
「やれるところまでやればいいんです。」

●国語の入試問題で養う社会で役立つ力

中学入試から大学入試まで、現代文の入試問題で求められることは大きくは変わりません。設問で求められている内容を正確に捉え、それを問題文から見つけ、解答を過不足なく正しく記すということです。ですから、基本的に解答はひとつです。

世の中で起きている出来事はテキストのなかとは異なり、解答は一つでなく様々な解答が求められる場合のほうが多いわけです。また、物語文において登場人物の心情を文章からは読み取れないことまで想像して答えると、間違いになってしまう場合も多くあります。想像するということ自体はとても大切なことであるのにです。このようなことから、国語の問題を解くことに意味はあるのかという疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

私自身、その社会人人生の大半を一般企業で過ごしてきましたので、解答が最初からあるものだけが大切だとは思っていません。創意工夫、答えのない新しいことへの挑戦など、解答が明確でなく、それでいて大切なものはたくさんあります。以前は、国語の入試とは大学に受かるための道具に過ぎないと考えていたかもしれません。

この仕事を始めてからも、国語の入試問題を解く意味を考えてきました。一つの正答を得るにはどのような過程が必要かを考えれば、学校生活や社会に出てからも必要とされる力のうち大切なものの一つを、国語を学び入試問題を解くことで得られるようになると思うようになりました。

設問を正確に読まないことには、正しい解答はできません。設問とは、出題者が受験生に正解を求める問いかけです。社会生活においても他人の言うことを正確に理解することが大事ですね。

設問を理解したならば、本文中からどこに答えがあるのかを見つける作業に入ります。勘や慣れで、これはできません。筋道を立てて考える力がないとできません。文章を正確に読みとる力は、上級学校に行ったり、社会に出たりしたときに必須のものです。自分独自の考えが大切だとしても、まずその地盤となる知識を固めなくてはなりません。他人の書いた文章を理解する力を養っておかなくてはなりません。

設問の趣旨がわかり、解答すべきことの目途がついたら、それを表現することで解答になります。選択肢問題では、それぞれ正しいと思われる部分のあるものから、本文の趣旨からみてまったく間違いのないものを選ぶ必要があります。ここでも正確に選択肢を読みとる力が求められています。

また、記述問題では自分の考えた解答を、他人が見てわかるようにまとめなくてはなりません。「他人が見てわかるように」、これは受験生のこれからの人生で必ず必要になる力です。国語の記述問題に取り組むことは、将来のためにとても有意義なことだと言えるでしょう。書けるようになれば、必ず話せるようになります。

国語を学ぶこと、国語の入試問題に取り組むことは、ただ志望校に合格するためだめのものではありません。人生を豊かにするために必要なこと、そのような思いで取り組んでいきたいものです。

●体験授業のご案内

駒沢オリンピック公園(当塾すぐ近く)

当塾は、現在ほぼ満員の状況で残り枠はわずかです。ただし、体験授業は随時受け付けております。体験授業をご経験されたのちすぐに入塾されることは困難とはいえ、冬休みなどに集中して当塾で学ぶこと(冬期講習)などもできるかと考えております。

当塾は、現在土曜日、日曜日は午前中から授業をおこなっております。加えて長期休暇中は、平日も午前9時より授業を行います。現在、体験授業の実施できる曜日や時間は限られておりますが、ご関心を持たれた方は、下記にご連絡ください。お待ちいたしております。

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