●自分に合った学校を選ぶ

首都圏にはたくさんの学校があり、その中から行きたい学校を選ぶことになります。共学か、男女別学か?大学の付属高校かどうか?部活に力をいれているか?生徒会活動盛んか?など、様々です。もちろん、偏差値も異なります。ぜひとも、どの偏差値の学校に行きたいかではなく、自分はどんな学生生活をしたいかを考えた学校選びをしてほしいと思います。前回のブログでふれたように、それぞれの学校に、それぞれ伝統や文化があります。必ず一人ひとりにあった学校があるはずです。私は、第一志望の学校に必ずしもこだわらなくてもいいと考えます。多くのお子さんは、第一志望以外の学校に進んでも、それぞれ充実した学園生活を送ります。そういうお子さんをたくさん知っています。大丈夫です。第一志望校かどうかよりも、自分に合った学校にぜひとも入学してほしいものです。

●学校選びの留意点

学校の選び方は、いろいろなところで話題になりますし、書かれています。校風、進学実績、部活、立地など様々ですので、今回は、私なりに気になっていることについてのみ、記してみようと思います。

私立校では、入学後に成績によってクラス分けをする学校が多くあります。これは、学校説明会などに参加すればわかるはずです。確かに、成績のいい子はより高いレベルに達したり、授業が円滑に進められたりと、多くの成果が出ていることでしょう。ただし、自分自身、あるいはお子さん自身がこういう環境に合っているのかどうかは、一度、念のために考えておいたほうがいいと思います。仮に下のクラスになった場合、気持ちが後ろ向きになることはないかなどは、よく考えておいたほうがいいかもしれません。あくまでも念のためです。

共学か、別学か、これは学校選びの段階で、どちらかに絞っているケースが多いように思います。人それぞれですし、私はどちらがいいとも思いません。どの学校で過ごしたかは、確かにその後の人生に大きな影響を及ぼします。ただし、それだけで決まるわけではありません。なお、男女共同参画社会である現代、もしかしたら、男子校、あるいは女子校への抵抗感がある人もいるかもしれません。ただ、こういう時代だから、社会に出れば必ず異性とともに社会生活を送ることになります。それならば、あえて6年間を同性だけの社会で過ごしてみるというのも、貴重な体験になり、人生の宝になるようにも思います。

いずれにしても、どの学校に行くかが大切なのではなく、どういう学校生活を過ごすかが大事です。また、大学の合格を目標にした場合も、入学した学校で合格する大学が決まるわけでもありません。まして、人生がどの中学に行ったで決まりことはありません。ただし、中学高校時代をどう過ごしたかは、その後の人生に大きな影響を与えることは間違いないことでしょう。

●受験と親子関係

さて、前回のブログからつづく、親子関係の話に戻ります。中学受験を通じて、親子関係をより親密なものにする方法もありそうです。志望校を決める時の会話はもとより、テストの結果が出たときの会話でもいいでしょう。たとえば、「A中学はたしかに野球部が強いからおすすめだけど、B中学も、文武両道だし、うちからは通いやすいよ。」ですとか、「今回は、理科の点数が上がったね。がんばっていたからね。」なとど話しかけてみるといいと思います。受験の期間中はとかく会話がとぎれがちですが、一日一度でもこのように話しかければ、お子さんも自分の気持ちや意見を言うようになることでしょう。普段見過ごしがちなお子さんの姿を知ることになることでしょう。とにかくあえて聞いてみる、また、話しかけられたら答える、これが大事です。

このことは、家族の関係を良くしたり、お子さんのことをより良く知ったりすることだけが目的ではありません。テストの結果の会話にしても、最初は断片的に「理科がいままでで一番できた」と話すだけかもしれません。そうしたら、「どの単元が出たの?」などと聞いてみましょう。「天体が多かった」、「前は天体が得意でなかったのにどんな勉強をしたら、成績が上がったの?」などと会話が進んでいけば成功です。子どもは自然に事実を相手に正確に伝えること、自分の考えを整理して、話したり書いたりする練習をすることになります。自分の「いいたいこと」を整理し、相手に伝える練習をしているのです。確実に国語の勉強になっています。くわえて、小論文や面接の練習にもなるのです。わずかな時間でかまいません。実践をおすすめします。

●結びに

受験生を持つ保護者の方々は、ほんとうに熱心です。それは、お子さんの将来を真剣に考えているからです。とりわけ、中学受験の場合、保護者の方が教材に目を通したり、テスト結果を一緒に確認したりという場面も多いと思います。こういう姿に、私は頭が下がります。敬意を持ちます。その無私の愛情を強く感じるからです。お子さんたちも、いつかその愛情に気づくことでしょう。

長男の中学受験、私は本人と母親任せで、何もしていませんでした。思えば、中学受験だけでなく、息子とともに何かをやり遂げたという経験が、今までにほとんどありません。
巣立っていくその日まで、何かひとつは一緒にしてみたい気がします。自分の心残りをふまえると、今受験生を抱えている保護者の方々のことは、強く応援していますし、少し、いや、とてもうらやましく思う今日この頃です。