●中学受験生を抱える親の思い
二学期が始まりました。中学受験を控える小学六年生は、おそらく塾などで過去問演習を始めた頃ではないでしょうか。また、五年生は、そろそろ具体的な受験校を考える時期でしょう。また、考えるべき時期であると思います。以前のブログでも、志望校選びについては記したことがありますが、今回は親子関係を中心に中学受験を考えてみます。
中学受験を始めるきっかけは、それぞれ異なることでしょう。子どもの場合、「友達がみんな通うようになったし、遊び相手もいなくなったから塾に行こうかな?」くらいの動機が多いように思います。一方、親は塾通いが進むにつれて、当然のことながら様々な情報にふれることになります。そのうちに、例えば「行くなら御三家がいい」ですとか、「偏差値60以上の学校でなければ意味がない」などと考えるようになってくるケースもあるようです。塾のテストに一喜一憂し、このままではいけないなどと考えだすのも、お子さんよりも親の場合が多いようです。親の思い、子の思いにギャップが生じるということです。
●首都圏の中学入試について
当塾の位置する世田谷区は、都内でも中学受験をするお子さんの割合の多い地域です。理由のひとつには、教育熱心な親が多いということがあげられると思います。当然のことながら、前提には「子供のため」ということがあります。子どものため、子どもの幸せのために中学受験をするわけであり、これが親の都合、親のためになってしまってはいけないと考えます。私は、中学受験を経験すること、そして、国私立の中高一貫校や大学の付属校に入学すること自体は、子どもにとってプラスの側面が多いと考えています。私自身は中学受験を体験していません。ただし、親としての中学受験は経験しています。親子のいい関係を築きつつ、中学受験に臨むことがたいせつに思います。そのために何ができるのか、何をすべきかを、思いつくままに記していきます、おおよそ十年前、息子の中学受験を思い出しながら。
地方ではあまり中学受験が一般的でなく、高校受験をする子が大半です。そして地方では、高校が偏差値によって縦割りされています。そして、いい学校=偏差値の高い名門校、そしてそこからでないと大学に入りにくいという図式があります。親が地方出身の場合、例えば偏差値が60以上の学校でなければならないと思うかもしれません。また、親が中学受験を経験していたら、自分の成績と比べて、子どもにダメ出しをすることもあるかもしれません。このどちらも必要のないことだと私は考えます。まず地方の高校の偏差値と東京の中学の偏差値は、全く別物です。また、大学受験一つとってみても、ひと昔前までは実績のなかった学校が、現在は進学実績を伸ばしているケースはたくさんあります。何よりも、中学受験のある学校それぞれには、独自の歴史があり文化があります。それは、偏差値で優劣をつけるものではないのです。また、どの学校に入ったとしても、志望する大学に合格できるチャンスは十分にあるのです。中学受験で第一志望校に入ることが人生の目的ではありません。首都圏では、中学受験をして行ける学校がたくさんあります。ですから、偏差値だけに縛られず、自分に合った学校を選ぶことが大切に思います。かりに第一志望でなくとも、実りのある学校生活が送れることでしょう。
●親子で挑む中学受験
中学受験は、数ある受験のなかでも、親子で進める要素の多いものだと思います。ですので、ぜひとも受験を通して、いい親子関係も構築していってほしいと強く感じています。そのためにも、まず現在地を知っておくことが大切です。現在地とは、一言でいえば現在の偏差値です。テストの受験層によって偏差値の数値は変わりますが、そのテストの基準表を見て自分の現在の学力を把握しておくことが大切です。これは、あくまでも自分の現在の位置をよく知っておきましょうという意味です。可能性を自ら摘んでしまう必要はないのです。親子で現状を共有しておくことが大切なのです。そして、仮に志望校の偏差値に大きく足りない現状だとしても、それをまず認めることだと思います。そして子どもの気持ちを大切にしつつ、会話することが大切です。
例えば、ほんとうにここに行きたいのなら、ずいぶんと頑張らないといけないなとか、あるいは、少し偏差値は落としてもいいから、今の実力に合う学校を目指そうかとか、会話をすることです。この学校に行かないとだめだというような言い方で、子どもを追い詰めてしまうことは避けたいものです。もちろん、例えば子どもが本当に御三家に入りたい、そのためにどんな努力もすると言うのならば、それを尊重すべきでしょう。子どもを主体に置きつつ、家族で目標を定めるのが大切に思います。
偏差値といえば、先ほど述べたことの具体事例をご紹介します。模試により偏差値の上下があるのですが、都内のある私立中高一貫校、高校の偏差値は72、中学の偏差値は59です。同じ学校でも、受験する層の母体が変われば数値も変わるということです。これは、特に保護者は、念のため理解しておきたいことです。
●子どもを主体に
あくまでも子ども主体の受験であることを念頭に置きましょう。勉強するのは子どもですし、受験するのも子どもです。合格して一番うれしいのも、不合格で悔しい思いをするのも子どもです、ただし、子どもですから、一緒に決めた目標がありながらも、怠けたり、気分が乗らなかったりすることもあるでしょう。親子なのですから時には叱ることも必要かと思います。愛情と信頼が根底にあれば、問題はないでしょう。
さて、中学受験のメリット、それはなんと言っても自分で学校を選べるということです。
首都圏ならばほんとうに様々な学校があります。確かに指標の一つは偏差値でしょう。ただし、それぞれの学校には独自の文化があります。お子さんに合う、合わないの様々な要素があります。学校をどう選ぶのか、これについては、次の回でふれていくことにします。