●新学期を前にして

この時期、中学受験、高校受験を終えた人たちは、どのようにお過ごしでしょうか。長い受験生生活は、きっと皆さんに大きな成長をもたらしたものと考えます。ですから、この時期、のんびりと過ごしている方も多いのではないのでしょうか。ともあれ、新型コロナウィルスに関連して、多くの皆さんは学校が休校ですし、この時間の過ごし方には工夫が必要に思います。

さて、私は皆さんに4月以降の新しい学校生活を健康で楽しく過ごしてほしいと願っています。部活動、新しい友人との出会いなど、ぜひとも青春を謳歌してほしいと心から思います。この年代だからできることがたくさんあると思うからです。充実した学生生活を送るためのこの春から一学期にかけての過ごし方について、私の思っていることをお話しさせてください。

●大切な一年生の一学期

最初に少し、勉強の話をさせてください。入学してしばらくすると一回目の定期試験が行われます。中間試験と呼ばれるケースが多いと思います。はっきりとした統計数値を示せるわけではありませんが、この試験で上位だった生徒は卒業するまで上位、下位だった生徒は卒業まで下位というケースがとても多いと実感します。初回の試験成績と卒業時の成績は、相関関係が強いということです。入学試験時の成績ではなく、初回の試験成績が大切だということです。もちろん例外はあります。後半伸びてくる生徒もいます。ただし、一般的にはこの傾向が強いことは間違いありません。

中学校や高校に入学して最初の一ヶ月、これが大切なのです。ここで一生懸命に勉強を頑張ることが、続く三年間、あるいは六年間の礎になります。環境が大きく変わり、勉強に専念しにくいことは多々あると思います。新しいクラスメイトの出会い、部活動への入部、そして先輩との関係構築など、たくさんの経験をすることでしょう。これは今後の人生を豊かにするための必須事項ですから、積極的に取り組んでほしいと思います。ただ、ここでしっかりと勉強しておくこと、勉強の習慣をつけること、これを大事にしてほしいのです。とにかく机の前に座る、この習慣をつけてほしいと考えます。

●今できる学びを

多くの学校は休校中ですが、学習塾は既に授業を再開しているところもあります。新しい中1や高1のための春期講習を受けるのも一つの方法です。受験のためだけの勉強ではない、次のステップで活きる学びを体験してみてはいかがでしょうか。決して、のんびりと休むことを否定している訳ではありません。やる時はしっかりやりましょうということです。のんびり休んでいるうちに、1~2年はあっという間に経ってしまいます。

国語だったら、例えば課題作文に挑戦してみるのはいかがでしょう。自分の意見をまとまる力、順序よく相手にわかるように伝える力、加えて、具体例、体験、あるいは引用などを交えて文章に厚みを持たせる力など、中学校、高校に進んでも大切な力を学べることでしょう。英語は中学校から本格的に学びます。春のうちから先がけて学んでおくと、スムーズに新学期を迎えられるでしょう。「継続は力なり」です。社会科は、時事問題を整理する、自分の意見をまとめるなどの作業をしておいたらいかがでしょうか。これも今後の学びの役に立つはずです。

●春を満喫する

ここまでは勉強の話でした。受験を終えたこの時期、ある意味、小学生でも中学生でも高校生もない、つかの間の時間だと思います。四月になれば、好まずとも新しい世界に入っていくわけです。このわずかな時間に、自分を見つめてほしいと考えます。見つめてみても、答えは簡単には出ないでしょう。出ないでいいのです。自分を見つけるきっかけをつかめればいいでしょう。新学期が始まる前に考えてほしいのです。

とにかく、このつかの間のひと時、何かに取り組んでみましょう。読書が好きならとことん読書しましょう。音楽が好きなら、とことん聴く、あるいはとことん演奏するでもいいのではないでしょうか。じっくり見る時間がなかった映画をまとめて見るのもいいかもしれません。事情が許せば、少し遠出をしてみてもいいかもしれません。これらは全部ひとりでもできますから。

この春、とにかく楽しく充実して過ごしてほしいと願っています。新しい学校に入学する前の準備期間、ぜひとも満喫してほしいものです。