●はじめに

国語の力が大切だとなと痛感する今日この頃です。算数が得意な子にはたくさん出会いました。常に満点近くをとれる子もいました。一方、中学受験で多くの学校で算数とともに配点の高い国語については、一番好き、あるいは一番得意という子はほとんどいませんでした。また、満点に近い点数をとれる子にも、残念ながら会ったことはありません。ただし、零点の子もいないし、点数が全く取れない子もいません。平均点近くに固まっています。ですから、本人も差がつかない教科と思い、保護者の方もそう認識されている方が多いのかもしれません。しかし実際には、国語力の有無は、受験に大きく影響します。次に記すのは、人気校、理科の問題の実例です。

●渋谷教育学園渋谷中学高等学校、理科の入試問題から考える

本校は、近年とみに人気が上昇し、偏差値も上がっています。御三家に迫る勢いです。私の学生時代からは考えられないくらいの躍進です。「自調自考」を教育目標とした、絶え間ない努力が実を結んだように思います。次のように学校案内にも記されています。
「『自らの手で調べ、自らの頭で考える』これが本校の基本目標です。21世紀は海図なき時代、モデルのない時代といわれています。そのような時代だからこそ、自分で調べ、考え、正しいかどうかを判断し、責任ある行動がとれる人間が求められます。」

自分で考え、判断すること、これはこれから長い社会人生活を送るうえでもとても重要なことです。 さて、本校の理科の問題、大問が三問あるのですが、その全てが国語ばりの文章題です
(2019年度の入試問題より)。

(大問1) 次の文を読み、問いに答えなさい。


( ヒアリの被害に関する文章、害虫駆除に関する新聞記事引用が中心です。例えば次のような問題が出題されています。)

下線部①について、ヒアリを発見したときに大きく生態系に影響を与えない形で駆除する方法として、最も適切であるものを下のア~エから一つ選び、記号で答えなさい。


ア ヒアリが発見された場所にベイト剤(独餌)を置く。


イ ヒアリに直接熱湯をかける。


ウ ヒアリが発見された場所近辺に、アリ用の殺虫剤をまく。


エ ヒアリが発見された場所に天敵であるノミバエを放す。

この問題、正答はイなのですが、まず本文をきちんと読み、この一文のテーマを理解することが大切です。そして、生態系に影響を与えないとはどういうことか=ヒアリ以外の生物に影響を与えない駆除の仕方は何かを確認し、ア~エの選択肢を正確に読み取れば確実に正答できるわけです。このような問題で全体が構成されているのです。大切なことは、これは本校の他の教科でも共通なのですが、重箱の隅をつつくような知識は求められないということ、むしろ、基本的な知識と論理的な思考力が求められるということです。文章を正確に読める論理的な思考力がここでも求められるのです。これは国語力です。

因みに大問②は、「次の会話文を読み、問いに答えなさい」です。
ここでは両親と生徒の会話が中心です。なぜ車のフロントガラスが曇るのだろう?の疑問から導入し、空気中の水蒸気や表面張力について答えていく問題です。

当校のように教育方針が明確な学校では、難問・奇問はあまり出題されません。偏差値が高い学校の入試には、必ずしも、細かい知識が必要な訳ではありません。むしろ、文章、あるいは図表なとを読み取る力、論理的に筋道を立てて考える力が求められるといっていいでしょう。

●国語をしっかりと学びましょう。

先の理科の問題が典型例かと思いますが、中学入試では、どの教科でも論理的に考えて答えを導き出していく力が求められます。もちろん知識は必要ですが、「覚えているだけでは解けない」のが入試なのです。これは、人気校になればなるほどこの傾向が強いと言っていいでしょう。この論理的思考力を高めるうえで、国語をしっかりと学ぶことがとても高い効果があります。生徒たちは、算数に比べて、国語の学習となるとどうしても感覚で解いてしまう傾向がありそうです、たぶんこうだと思うというように。そうではなく、論理的に文章を読み解くトレーニングをすると、確実に国語力が上がっていきます。その結果として、まず国語の成績があがることでしょう。国語は問題によって成績にバラつきが多い生徒が多い傾向があります。これは、悪く言えば行き当たりばったりで、感覚的に問題を解いているからです。感覚的な読み方ではない、論理的な読み方を身につければ、成績が上がるのです。

●国語力が上がれば、全体の成績も上がる!

前述の通り、国語の読み方が身につけば、まず国語の成績が上がります。その時、既に論理的に考える力も育成されています。ですので、他教科の文章題や記述問題に対応できる力も同時に身についているのです、知らず知らずのうちに。例えば社会、暗記科目と思っている方も多いでしょう。もちろん、基本的な事柄は覚えなければなりません。ただし、本当の社会の力は、知識の土台の上で、なぜだろうと考え、自分なりの答えを見つけ出していくことです。この基礎になるのは、国語の力、日本語で論理的に考える力です。当塾では、本当の国語力を育成する授業を行っています。なお、当塾はすべて個別指導です。国語のつまずく場所は、人によって違うと考えるからです。一緒に学ぶ生徒をお待ちしています。